多くの旅行者にとって、休暇先といえば偽造された高級品の購入を連想します。海外を訪れると、グッチやルイ・ヴィトン、シャネルの偽物を売っているあのいたるところにある市場の屋台が魅力的に見えるのです。高級なお買い得品にめぐり会ったかのような気持ちになりますが、これらの製品が本物ではないことは十分に理解しています。それでも、魅力を感じるので、イギリスの旅行者は毎年500億ポンド相当の偽物商品を持ち帰っています。

データによると、偽物の中で一番人気のあるアイテムはバッグであり、ハンドバッグが30％を占めており、次にデザイナーの洋服（28％）とサングラス（26％）となっています。

もちろん、偽造品に対する戦いは絶え間ない戦いです。実際、ルイ・ヴィトンの親会社であるLVMHは60人以上の弁護士を雇用し、毎年1700万ドルを費やして偽物を押収・破壊しているとハーバード・ビジネス・レビュー (HBR) によって報じられています。

しかし、これらの努力が実を結んでいるとは言えません。偽造品の総取引額は約4.5兆ドルと推定されており、そのうち偽の高級品が60％から70％を占めています。

では、高級ブランドはどのように偽造品に取り組むべきか？

ハーバード・ビジネス・レビューの調査によると、ブランドはロゴ以上のことを考えるべきです。グッチの二重G、シャネルの絡み合ったC、ルイ・ヴィトンのモノグラムは偽造品業者にとって明らかなインスピレーションとなっています。しかし、エルメスのバーキンバッグ、ボッテガ・ヴェネタの編み込みレザーアクセサリー、セリーヌのラゲッジバッグはロゴがなく、品質と職人技術によって認識されるので、偽造品としてはあまり選ばれません。

最近の研究では、HBRは4つのパネルで32人の専門家をインタビューしました。高級ブランドの幹部、高級品業界の協会代表、反偽造の専門家、音楽業界や製薬業界の幹部などが含まれます。こうした業界では、高級品業界よりも偽造品に対してより成功を収めています。

彼らの調査結果の一つは、真の高級品は単なる有形の製品やステータスシンボルではなく、それが高級ブランドと関連付けられているところです。「業界全体での重要な焦点は、品質のマーカーではなく、ロゴを含む非有形の製品属性にあります」とHBRは述べています。

「週末のマーケットで世界中にあふれる安いTシャツやショッピングバッグに高級ブランドのロゴが印刷されているときに、元々のシャネル2.55フラップバッグにはまったくロゴがありませんでした。キルティングステッチとダイヤモンドまたはヘリンボーンのパターンが「シャネル」を表していました。それでも60年間にわたり、このバッグは時代を超えて欠かせない存在とされています。同様に、マックスマーラのウールとカシミアの101801アイコンコートは、ロゴのないクラシックであり、ほとんどコピーされることがありませんでした」と書かれています。

顧客とのつながりを再考する

「多くの高級品企業は、顧客についての仮定を見直す必要がある時期に来ています。今日の新しい裕福層は主にミレニアル世代であり、彼らの倫理観や好みは彼らの親世代とは異なるものです。経験、持続可能性、シェアリングが商品や消費、排他性に代わり、重視されるようになっています」とHBRは述べています。

消費者はほとんど罪悪感を感じていない

しかし、顧客が変化しているとしても、偽物の販売には持続可能性は影響を与えていません。Kelkooの「偽物の休暇中の購入に関する」調査によると、多くの購入者が偽物を購入することに無頓着な態度を持っています。バカンス中の人々の31％は偽物を購入しても無害だと考えており、28％はデザイナー風のルックを手に入れながら少しお金を節約したいと考えています。驚くべきことに、回答者の16％は偽物が多くの人々にとって高級ブランドにアクセスできるようにするために、小売市場にとって有益だと信じています。

Kelkoo Travelのマネージングディレクターであるクリス・ニクソンは、「私たちの調査からは、3人に2人のバカンス客が安価な偽物商品を利用したいと考えていることが明らかになっています。しかし、人々は自分が得るものに値段が反映されることを覚えておくべきであり、これらの製品の品質と耐久性はかなり低いと言えます。また、偽物の特定はますます難しくなっています。そのため、偽物を本物と思い込んで購入してしまう人々も多いのです。消費者は、偽物の商品をたくさん持って帰ることには重大な影響があることを理解する必要があります。もし英国の税関で止められた場合、これらの商品が押収される屈辱を味わうだけでなく、重要なことに、刑事訴追の可能性もあります」と述べています。

写真のクレジット: ボッテガ・ヴェネタのアルコ75バッグ、出典: ボッテガ・ヴェネタのウェブサイト。記事の出典: ハーバード・ビジネス・レビュー、「高級ブランドが偽造品業者に打ち勝つ方法」